前略、台北より。

MOTOR-MANの日記です。

「ニコニコ鉄道海都支社 路線図コンテスト」講評

みなさんこんにちは。MOTOR-MANです。
 もう一か月前の話になので、皆さんお忘れになっているかもしれませんが、今回の路線図コンテストの全作品について、主催者の私MOTOR-MANとニコニコ鉄道株式会社会長・斜め45℃氏からの講評を掲載させていただきます。

結果発表の動画は↓から



1 洩矢さん

MOTOR-MAN講評
 以前、デイリーポータルZか何かの記事で、「中心駅から放射状に路線図を伸ばした路線図」というものを見たことがあり、当時は「面白いことを考えつく奴がおるのお」程度に思っていましたが、まさか自分のコンテストにそれが来るとは思いませんでした。ですので、洩矢さんの作品は私にとって「驚き」の一言に尽きます。
 ただ、この路線図は地下鉄等の都市交通向きのものなので、JR的な鉄道経営をしているうちにはあまり合わないのかな、と思いました。
斜め45℃氏講評
 放射状にデザインされた路線図は事例が幾つかありますがそれを参考に解釈デザインする技法はお見事です。海都駅を中心に正方位に主要路線を配置し、他路線を同心円で処理しているため綺麗に見る事ができます。青島近辺を別同心円で処理されているのも地形的な区分を感じ理に適っているなと。
 反面このデザインは海都駅以外の駅間を行き来する際の経路が実際の地形と乖離する事があるのでユニバーサルデザインとしては難しい点があります。是非その問題を解決する技法にもチャレンジていただきたいです。

2 東条武蔵さん

MOTOR-MAN講評
定規を使え。トイレにはちゃんと行け。
斜め45℃氏講評
 締切直前に制作スタートされたとのことでお疲れさまです。
 限られた時間で如何に必要ラインの品質を提示できるかをクリアできてるかと思いました。だが定規は使え。
 手書きの良さも時にはあるかもしれないが線や記号を均一にする事で見易さを確立することもできるので一度InkscapeExcelでの作成を検討してみても良いかと感じる。定規機能もあるので。

3 546さん

MOTOR-MAN講評
 最優秀賞にするか否かで大変迷った作品です。この角ばったデザインがスタイリッシュで好みにドストライクだったんです。
 いつかの生放送でも言いましたが、この作品の素晴らしい点は、ラインカラーの付け方です。普通は路線の線部分をラインカラーのものにするところを、546さんは「黒線の両側にラインカラーをつける」という手法をとることで、路線の存在を分かりやすいものにしているのです。特に、ラインカラーを黄色などの薄い色だと、この工夫の素晴らしさが分かるかと思います。
 ただ、残念だったのは、路線の文字の位置がまとめられていなくてごちゃごちゃしてしまっていたことです。
斜め45℃氏講評
 複雑な路線形態を線の角度を一定の法則で処理しスッキリと纏められています。路線系統毎に背景色を作りゾーニングする手法はお見事です。
 よりシンプルに見やすくしようとする場合、所々に存在する地形に沿った線の曲げを減らすことで軽減できるかと。線の判読性を上げるために付けられた白フチや駅アイコンの黒フチもゴチャッとした印象を与える一因になってるかと思われます。より推敲することで1位2位は変わっていたかもしれないので次回あれば期待させていただきます。

4 huruya2100さん

MOTOR-MAN講評
 完全にJR東日本でした。
 個人的にこの路線図で好みなのは連絡船の表記方法です。船のアイコンを使われていたので大変分かりやすいんですよね。地形の表記もあったら、よりよかったと思います。
斜め45℃氏講評
 JR東日本風かな?忠実に再現されているなと思います。青浜ー浜渡間の船のイラスト付きの連絡線表記がアクセントになり、haruya独自の作品らしさも感じられます。惜しいところは所々に均一性に欠ける部分があるところです。海都ー守宮間の各駅の丸表記の大きさのズレ、守本線の線幅などブラッシュアップできるところは多いかと思いますので細かいところを意識していただければより良くなると思います。

5 Nisさん

MOTOR-MAN講評
 最優秀賞おめでとうございます。大変分かりやすく、うまくまとめられていて、もはや言うことなしです。
 今後ともよろしくお願いいたします。
斜め45℃氏講評
 最優秀賞おめでとうございます。色や地形を駆使し情報過多な中でも種別のナンバリング化や線形の法則化など技法を駆使されて見事にデザインとして落とし込まれているなと感じました。大津でも同様の手法で制作いただいたものがありますので近々お見せできるようにいたします。欲を言うと海地形部分に跨っている文字が少しだけ見づらいので(守浜ー青浜北間など)陸側海側どちらかに寄せた方がスッキリとできたのかもしれません。より凶悪になるであろう最終形の出来上がりも楽しみにしています。

6 あやなのさん

MOTOR-MAN講評
 徹夜して一晩で作ったとのことで、お疲れさまでした。
 非常にシンプルなデザインで良いかと思いますが、主要駅をもう少し目立つように工夫してみたり、文字もただ太字にするのではなく大きさを変えてみたりした方が良いのではないかと思います。ただ、改善すれば大変良い路線図になるかと思いますので、これが綾野支社と海綾急行電鉄に反映されることを、強く期待しております。
斜め45℃氏講評
 全体的に淡い色で纏められていてとても可愛らしいです。ドロドロ火薬匂う海都には似合わないのでは?(ぉ
 所々線と駅表記の丸がズレているところは気になりますね。出来るだけ同一の路線は線が連続しているように見えた方が同じ路線として認識されやすいかと思います。
 実在の路線図ですと淡い色は可愛い反面色覚弱者には色の差が認識されづらいのでユニバーサルデザインとしては難しいものになります。
 架空ならではの表現だと思い斬新さにポイントありでした。

7 うるふさん

MOTOR-MAN講評
 動画の中で出したことのない路線や、軍事専用線なども記載されていて、大変オリジナリティあふれるものだったと思います。
 特に、路線の乗り入れについて丸で表現していたのは大変良かったポイントでした。これで、どの路線がどの駅に乗り入れているのか分かりますからね。
 ただ、あまりに余白が多すぎるので、もうちょっと駅間隔などを詰めても良かったのではないかなと思います。
斜め45℃氏講評
 シンプルでありながらも主要駅の路線表記のまとめ方や橋やループ線など路線毎の個性がアクセントとして盛り込まれており、噛むほどに味があるデザインだと感じます。ナンカシラナイロセンケイカクモアリマスネー
 スッキリした反面、遠目で見た際に密度の低さを感じてしまうので動画展開やコンペ形式の今回ですとイマイチ迫力不足になってるかなと思われます。問題解決に向けた新しいデザインの提案も楽しみにさせていただきます。

8 がんぴーさん

MOTOR-MAN講評
完全にねこてつです、ありがとうございました。
斜め45℃氏講評
 地形に沿った各駅の配置をされているようで、海都を中心に賑やかさを感じます。だからといって定車種別を記号で表記する東急方式を取ることでゴチャッとした印象はあまり受けずに見る事ができました。
 濃い目の色ベタを敷いて薄い色文字を使う「抜き文字」も使ってみることでデザインの幅が広がるかと思いますので今後に期待させたいただきます。

9 しずさつさん

MOTOR-MAN講評
 中国語表記があるなど、大変オリジナリティにあふれたもので、しずさつさんらしさが出ている路線図だなと思いました。
 駅名を突起と丸で表現していることで、「どこが乗換駅で、どこがそうでない駅か」というのが大変分かりやすく、そのあたりについては丸のみで表記されたものよりも分かりやすかったと思います。ただ、複数種別の案内には向かないと思うので、やっぱり都市鉄道向きなのかな、と思ったのが正直な感想です。
 あと、後日この路線図に関して、しずさつさんに一つ依頼をさせていただくことになるかと思います。
斜め45℃氏講評
 各駅のルビに中国語表記があり依頼主に合わせたデザインで素晴らしいです。色分けされた路線カラーも明瞭でスッキリ分かりやすいです。駅名の突起の有無によって優等などの停車を区別しているのは多少わかりにくいので注釈に加えるなどの配慮が必要だったかもしれませんね。凡例一覧の路線カラーは近い色もチラホラありますので数字記号などを振るとより分かりやすいものになるかと。最優秀との差は情報量だと思われますが必要要件は十分に備えてる綺麗なデザインだと思います。是非列車種別を盛り込んだものにもチャレンジしてみください。

10 斜め45℃氏

MOTOR-MAN講評
 この作品で一番驚いたのは「種別の停車方法」です。まさか円グラフ状にして種別が停車するかどうかを示すとは驚きでした。ここだけの話、ユニーク賞を授与するかどうかかなり迷ったのです。
 ただ、普通の色を緑にしてしまったことで、それが路線図を少し見にくいものにしているように思えます。
斜め45℃氏講評(自己評価)
 自身を講評するというのもおかしな話ですので簡単に解説を。今回は「affinity designer」という有料デザインソフトの体験版を試用して制作してみました。adobeソフトよりも廉価でillustratorに操作性が似ているので個人制作に検討してみるのはいかがでしょうか。試用期間は10日間でしたが制作は6日ほどだったかと思います。列車種別も複雑な海都ですので駅記号を種別毎に分類する(実例ですと東急など)ことでシンプルさを意識しつつ黒バックでシックな雰囲気で纏めています。反省点としては路線カラーと種別表記の色の差が薄い。複数路線に直通する列車の系統が分かりにくい点があるため次回あれば課題にさせていただきます。コンテストお疲れ様でした。


 以上です。今回の路線図コンテストはどれも傑作揃いで、審査に大変迷いました。参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。
 あと、コンテストの審査ってすごい大変だとわかったので、多分もう二度とやりません。それでは。